遺産分割協議書の印章鑑定

遺産分割協議書とは

遺産分割は,遺言書を残さずに亡くなった方に遺産(資産や負債)がある場合に,相続人全員が参加して遺産の分配を決めるもので,これを「遺産分割協議」と言います。

遺産分割協議書の書式は,被相続人の名前や死亡日,本籍地,最後の住所地などを明記し,次いで資産と負債を明記しそれを相続する方の氏名と住所を記載します。また,遺産分割協議書は相続人全員分の枚数を作成して相続人各自が一通ずつ保有します。

遺産分割協議が成立してはじめて遺産を分割することができるのですが,戸籍上にいる相続人が見つけられず難航することもあるようです。また,税金の支払いや負債の返済が滞ると延滞金が付くことがあるため,喪が明けきらぬうちに遺産分割協議を始めようとして他の相続人から反感を持たれることもあるそうです。

遺産分割協議書の書式

遺産分割協議書は,手書き・パソコン等どちらで作成しても構わず,相続人全員の総意が反映されていればよいので書式に絶対的な決まりもありません。また,書き直しの手軽さや相続人全員分を用意する労力が必要となるため,近年ではパソコンで作成した活字の遺産分割協議書が多く見受けられます。

遺産分割協議書は相続人各自の実印を押印し,それを以て遺産分割協議の参加と記載内容への同意を表しますが,そのようにして作成されたはずの遺産分割協議書が身に覚えのないという方もいらっしゃいます。

遺産分割協議書の性質

遺産分割協議書は,遺産の分配を相続人全員で話し合って決めるものであり未来に遺恨を残すことのないように作成されるものですが,逆に言えば相続人全員の了解がなければ成立しない文書であると言えます。

遺産分割協議書はそうした性質を併せ持つため,相続を急ぎたい相続人と,相続に納得できない相続人の間に軋轢が生じることがあり,ともすると争いの火種になることがあります。

遺産分割協議書の印鑑を鑑定

遺産分割協議書を作成した覚えがない。という方からの印章鑑定のご依頼は少なくありません。

遺産分割協議書の印章鑑定では,ご自身の実印とされる印影が偽造印影であることを解明し,遺産分割協議書にご自身の意志が反映していないことを示すために行われるケースがあります。

また,遺産分割協議書を作った覚えがない。として執行された相続に異議を唱える相続人に対し,説得材料として印章鑑定を依頼されるケースもあります。

どちらのケースのおいても遺産分割協議書は原本が複数残っているので,印章鑑定を行う際には原本を使用でき,印影のスキャニング偽装や印面偽造などを調査できますので精度の高い印章鑑定ができます。

長い間海外で暮らしていて,日本に帰ってきたら遺産相続がすっかり終わっていた。とか,滞りなく終わった遺産相続の数年後,異を唱える相続人が表れた。など,遺産分割協議書をめぐるトラブルは印章鑑定で対応することが解決への近道です。

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Posted by 鑑定人 田村真樹