筆跡診断

筆跡心理学

筆跡診断とは

筆跡診断とは、筆跡の点画をひとつづつ,或いは要所ごとにまとめて分析を行い,その筆跡を書いた方の基本的性格や内面性をとらえたり,その筆跡が書かれたときのお気持ちや考えの傾向を読み取ろうとする行動心理学の一種です。

筆跡から行動を読み取る

人が何かしらの行為に及ぶ際には,その方の性質や性格,深層心理が無意識のうちに表れます。

かつてはこれを「佇まい(たたずまい)」といい,その人となりを表すものでしたが,筆跡もその佇まいの一つであり,文字や図形を「書く」行為によって出来上がった筆跡を元にして,その筆跡を書いた人の基本的性質や内面的性格,深層心理など,様々な心理行動を読み取ろうとするものです。

筆跡は,歩くことや話すことなどと同じく人の「所作」つまり「行動」の痕跡です。そこには御自分では気づかないような深層心理が現れることもあり、ご自身が知らない「自分」を知ることができると方法の一つと言われています。

筆跡と性格の結びつき

筆跡は経年変化を起こすことが知られていますが,性格も年齢を重ねることで変化していきます。

映画やドラマなどでも「若いころと比べて丸くなったね。」という言葉を耳にすることがありますが,年齢を重ねたり,何かをきっかけにしたりすることで考え方やモノの見方が変わり,ひいては性格が変わったように感じることがありますが,これは筆跡も同じ。雑な書き方だった人が次第に丁寧な書き方になったり,その逆も然りというように経年変化してゆきます。

筆跡診断は筆跡から性格を読み取ろうとするものではありますが,決定づけるものではありませんし,決めつけることができるものではありません。

筆跡診断にできること

筆跡診断では,その文字を書いた人がそのとき何を考え,或いはどのような心理だったかを理解するとともに,複数回書かれた文字の観察を通してその人の基本的性格をしろうというものですから,ご自分の筆跡を筆跡診断により分析する事で,それまで気づかなかったご自分の基本的性格を知り,それを応用して今度は筆跡を意識的に変化させることにより,ご自身が「こうありたい」と望む「私」に内面から変えてゆくことができると考えられています。

こんな筆跡診断はご注意を

筆跡鑑定では,一回しか書かれていない筆跡よりも,複数回書かれている筆跡を重視します。筆跡の特徴は複数回書かれている筆跡から読み取る以外になく,執筆者の「クセ」なのか否かは一回しか書かれていない筆跡からでは読み取ることができないからです。

筆跡診断でも同じことが言えます。

テレビや週刊誌などで,著名人に文字を書かせたり,コメント等の筆跡から筆跡診断を行い,その人の性格や心理状態を分析しているものを見かけますが,一回しか書かれていない筆跡から「クセ」や「特徴」を見抜いたようなことを言う「筆跡診断士」や「筆跡心理士」はいかがなものかと思います。

プロの筆跡診断士や筆跡心理士は,筆跡を一瞥しただけで「したり顔」をすることはありません。むしろそういう者たちは「モグリ」の筆跡診断士や筆跡心理士ですからご注意ください。

行動分析や心理学では,学問の性質からデータの集積が必須です。

筆跡診断は行動分析や心理学の一端ですから,適切な筆跡資料による適正な分析を受けるようにしましょう。