筆跡鑑定 アプリ|AIやハード

筆跡試料作成2020

筆跡鑑定が行えるアプリやソフト

「筆跡鑑定を自動で行えるアプリ(ソフト)はありますか?」というご質問をいただくことがあります。

「ありません。」という回答になりますが,(今のところは)という条件が付きます。

筆跡鑑定を機械にやらせる仕組みは結構シンプルです。

筆跡を読み取り,それが何という文字であるかを正確に認識して分類し,同じ文字どうしの筆跡から恒常的に表れる特徴を数値化して比較します。複数のディープラーニングや,御認識を防ぐための手助けなどが必要になりますが,文字一つの筆跡鑑定を行うためのフローチャートの数は2桁に収まるかも知れません。

大学を始め研究機関では,ヒトの書いた文字を認識できるソフトを開発していますが,未だ万人の筆跡を正確な文字として認識できるまでには至らないようで,攻略の難しい分野なのだろうと思います。

筆跡鑑定とAIのブラックボックス問題

筆跡鑑定をAIで行うことができるようになったとしても,AIが出す鑑定結果ではその根拠が示されないという,いわゆる「ブラックボックス」問題がおこります。

これが筆跡による性格診断などであれば,本当のこととかけ離れていても「こんなものだろう。」と思うこともできるでしょうが,AIの行う筆跡鑑定によって遺産相続や金銭の貸し借りなどの契約,又はご自身やご家族の尊厳にかかわる重大事などで,結果に至る根拠を示せされずに事実とかけ離れた結果が出されたとしたらいかがでしょうか。

AIが筆跡鑑定を行うアプリやソフトを開発するということは可能でしょうが,AIが抱えるブラックボックス問題の解決と,それを乗り越えたところにある「人間の信用に足るもの」に昇華させてゆくことの方が,はるかに困難な作業に思えます。

筆跡鑑定とコンピュータ

筆跡鑑定をコンピュータで行うには,そのハードとして量子コンピュータが必要になると思います。

私は科学者ではありませんが,自分が大勢の筆跡を鑑定しながら感じている,ある種の万能感(優越感は伴いません)をプログラミングで体現しようとするなら,YesとNoを同時に存在させることができる電子脳がいるでしょうし,全人類が書いた筆跡を鑑定できるようになるには,莫大な量の筆跡をディープラーニングすることになりますので計算速度が速くないといけません。

「自動筆跡鑑定ソフト」や「筆跡鑑定アプリ」などで,世界中の言語の筆跡鑑定を即座に行えるようになると私たちの仕事は失われてしまいますが,開発されたものを見てみたい好奇心が付きまといます。

筆跡鑑定・印章鑑定の研究用試料の作成・133回目

筆跡鑑定・印章鑑定の研究用試料の作成:2020年5月1日

緊急事態宣言の期間が延長される方向で検討されているようです。

そんな中,新学期を9月からにしようという意見が都道府県知事から出ています。

転んでもただでは起きない日本人のたくましさを見た気がします。


最後までお読みいただきありがとうございます。次回まで,あなたと私に良い風が吹きますように。