自分の筆跡を残す取り組み

筆跡試料作成2018

筆跡鑑定を行う二通りの目的

筆跡鑑定を依頼する目的は,大別して二つです。

自分の筆跡を鑑定する

一つは,自分の筆跡であるかを証明する為に筆跡鑑定を依頼するケース。身に覚えのない契約書などにより金銭などを要求されてしまい,契約書の署名が自身のものであるかを明確にするための筆跡鑑定を行う場合などです。

他者の筆跡を鑑定する

もう一つは,他者の筆跡が本物であるかを調べたり,証明したりするための筆跡鑑定。遺言書などでは,遺言者本人によって書かれたものであるのかを調べたり,契約書などでは,相手方を逃がさないためにするための証明として筆跡鑑定が行われます。

筆跡鑑定で困らないために

いずれの場合も,比較対照する筆跡が存在しなければ筆跡鑑定はできないので,依頼の際にお探しいただくことになりますが,パソコンの普及に伴い,近年では手書き文字が残らないために,過去に自分が書いた筆跡を探すのも苦労する。という方が増えています。
御自身の筆跡であれば,弊所のアドバイスにより見つけ出すことができる方もいらっしゃいますが,他者の筆跡を探すのは困難であり,個人情報保護法の壁もあるため入手困難ということも珍しくありません。

筆跡の保存先を作る

いざ,「筆跡鑑定が必要!」となったときに,過去に自分の書いた筆跡が見つからないことを防ぐため,自身の筆跡の保存先を確保します。手っ取り早いのは年賀状や暑中お見舞いを親類縁者に送ることです。全部手書きである必要はありません。差出人として氏名と住所があればよく,一言コメントを添えられるとなお良いでしょう。送り先の意向により,一定期間が過ぎると捨ててしまわれる可能性もありますが,親兄弟なら保管しておいてもらえるように話しておくと良いでしょう。郵送物は書かれた年月日を消印で推定することができ,年賀はがきであればその年のものであると推測が成り立ちますので,筆跡鑑定の際に役立ちます。

また,御自身が他界され,遺言書や契約書などで争いが起こったときも,年賀状や手紙文などが身内に保存されていれば,本人の筆跡として有効な資料になりますから筆跡鑑定も円滑に進み,結果として御自身の遺志を執行することや,身に覚えのない借用書などからご遺族を守ることにつながるかも知れません。

筆跡は日付とともに残す

不慮の筆跡鑑定に備え,年賀状や手紙以外でも自身の筆跡を残すことをお勧めしますが,その際は必ず日付を書く習慣をつけましょう。筆跡鑑定では執筆時期を特定したり,筆記期間を仮定したりして鑑定作業を行いますが,筆跡がたくさんあっても日付が不明だと,対照資料として使用できないことがあり,せっかくの備えが無駄になってしまいます。

筆跡鑑定で自分や家族を守るために

日ごろのちょっとしたひと手間が,自身や御家族(ご遺族)を守ることに繋がります。また,手書きのものをもらい,「捨てづらい」と感じた経験がある方もいらっしゃると思いますが,人に差し上げたものが大切にされるということは,御自身を大切にされていることと同じですし,有事の際に巡り巡って自身や御家族の助けになりますので,自分の筆跡を残す取り組みをお勧めします。

筆跡試料の作成-81回目

少しづつ寒くなってきました。天候居士の鑑定人は今日もお天気を気にしています。

2018.11.21筆跡試料の作成

日産自動車のカルロス・ゴーン氏が容疑者として連日報道されています。リストラされた元従業員の方や,厳しい締め付けを余儀なくされた下請け工場の方たちが納得できるだけの理由があるのでしょうか。コストカッターという異名を持つそうですが,さぞかし切れ味が良かったのでしょうから,御自身のしてきたことに刃を当てて全てを告白し,全てを明らかにしてほしいものです。


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