受取サインの筆跡鑑定

筆跡試料作成2019

宅配便や納品伝票の受取サインの筆跡鑑定

筆跡鑑定では,遺言書や契約書などのかっちりとした「書類」の筆跡鑑定を主に行いますが,ご依頼いただく案件の中には個人が使用する宅配便や,企業間の納品伝票などの「受取サイン」の筆跡鑑定を行うことがあります。

宅配便の受取サインの筆跡鑑定

ネット通販や個人間の仕送りなど,多くの方が利用される宅配便ですが,特に通販では商品など発送して到着済みにもかかわらず,受取人が「届いていない」と言って問題になる場合があります。

宅配便の受取サインでは,大抵の受取人は名字のみサインをすることが多く,筆跡鑑定でも名字のみ鑑定を行う場合がほとんどで,フルネームを筆跡鑑定することはあまりありません。
対照資料としては,過去に受取人が実際にサインをした筆跡が必要になりますが,そうした筆跡資料は配達会社に保管されているため,多くのケースで筆跡鑑定が可能になっています。

最近では受取サインもタブレット端末に行うようになりつつありますので,配達伝票に直接サインをすることもなくなるかもしれません。また,「ハンコください」という昔ながらのやり取りは,受取人が本人でなくても三文判であれば捺印が可能なため,近年は「サインかハンコください」と改められているようです。

過去の事例では,受取人サインが本人の筆跡ではないことが筆跡鑑定により明らかとなり,配達業者が本格的に調査したところ,受取人は一人暮らしで,配達された時間帯は仕事に出ており,実際に受け取ることができないにもかかわらず,配達済みになっていた。という事実が明らかになり,解決に至りました。

納品伝票の受取サインの筆跡鑑定

企業間で商品などを卸したり,備品をレンタルしたりするなど,ほとんどの事業所では日常茶飯事の光景です。契約に基づいて流通が為され,日常的であるため問題はほとんど起きませんが,棚卸の際に在庫数が合わず,納品伝票を調査したときに見慣れないサインが出てくるなどで筆跡鑑定のご依頼に至るケースがあります。

納品伝票の場合も受け取った方の名字のみサインされていることがほとんどですが,中にはフルネームのサインや,部署名の記入や捺印まであるものもあり,企業風土や営業所の体質により受取サインも様々です。
筆跡鑑定では,疑わしい伝票にサインされている方と同じお名前のものを,過去の納品伝票から探し出して対照資料にでき,社内で全ての筆跡資料がそろうため,短時間で筆跡鑑定に臨むことができます。
ただし,納品伝票の枚数が多くなることもあり,筆跡鑑定を行う日数がかかることがあります。

近年では,バーコード等を利用して納品日時をパソコンで管理している事業所もあるようですが,どんなものにも例外はあるため,需要は多くありませんがいつまでもなくなることのないご依頼案件の一つとなっています。

通算108回目の筆跡試料の作成

2016年8月25日に始めた筆跡試料の作成も丸3年が経過します。

筆跡鑑定の研究用試料の作成2019年8月21日

この三年間で,
「筆跡から書類の執筆時期を特定することはできませんか?」
というお問合せを十数件いただき,
「印影から書類の作成時期を特定できませんか?」
というお問い合わせを4件いただきました。

せっかくお問合せをいただいているにもかかわらず,お力になれず誠に遺憾です。

今は,そういったお問合せにお答えできるかもしれないという可能性に望みを懸けて,この筆跡試料を作成し続けています。


最後までお読みいただき,ありがとうございました。