鑑定技術の応用による特殊鑑定

特殊鑑定は偽造を見破る技術でもあります

当研究所では,遺言書や契約書の筆跡や印鑑が,本物か否かを見破る研究を行っています。

加筆を見分ける

加筆改ざんは珍しいことではありません。
数字の1を9にしたり,一を別の漢数字にしたりすることは,原本が目の前にあれば容易に行えます。しかし,これを見破るにはいくつかの方法を試みる必要があり,難易度も高いため,調査には訓練と経験が必要です。

赤外線でボールペンの透過性の違いを調べる

遺言書や領収証などはボールペンで書かれることが多く,遺言書への加筆や,領収証の金額数字の改ざんなどが疑われる場合に,赤外線透過検査を行うことにより,不自然な加筆痕を見つけたり,金額改ざんなどを見破ったりすることができます。原本が必要であり万能ではありませんが,成功した場合は動かぬ証拠として撮影します。

文字の線の幅を測定して,筆記具の違いを調べる

筆跡には筆記具に固有の線の幅があります。ボールペンの0.5㎜や0.7㎜などの規格もその一つですが,この幅を専用の器材とソフトを使用して測定し,筆記具に違いがあるかを調査します。これまでに判明した例では,遺言書の中に空行があり,そこに遺言書の他の部分とは異なる幅のボールペンで加筆されていたというもので,通常の筆跡鑑定でも遺言者の筆跡ではないという結果が出ました。

加筆改ざんは古典的な手法ですが,衝動的な考えにより安直に行われる背景があります。

赤外線機材による透過検査

田村鑑定調査では,赤外線を使用した検査を行っています。機材は赤外線スキャナー・赤外線マイクロスコープ・赤外線デジタルカメラの3機です。赤外線は印刷物やペンのインクを透過する性質があるため,筆跡鑑定では主に「加筆」の判断に使用します。

特殊鑑定における領収証の観察左図は領収証のサンプルです。

金額は¥88,869-と書かれています(少々金額に無理がありますが)。
赤外線を通した真の姿はいかがでしょうか。

ちなみに,赤外線調査が可能な筆跡は,原本資料のみとなりますので,ご注意ください。

 

特殊鑑定における赤外線スキャナーによる領収証の透過検査イメージ赤外線スキャナーでスキャニングした結果です。領収証として印刷された部分や,印鑑の朱肉は赤外線を透過する性質のインクであるため見えない状態になっています。
金額欄を見ると¥33,000-と書かれており,領収証を筆記したペンとは違うペンで,後から加筆され¥88,869-に改ざんされたことがわかりました。

赤外線機材による観察により,目視ではわからない本当の姿を知ることができ,加筆された部分の筆跡鑑定を行うこともあります。

画像補整による可視化

印刷された内容や,文字が書かれた箇所の上から,油性ペンなどで黒塗りされた書類に対し,田村鑑定調査では,長年培ってきた画像補整技術を応用し,可視化することができます。
左下図は便せんに書かれた文字を油性ペンで黒塗りした画像です。原本であれば,光の加減で書いてある内容を読むこともできますが,第三者も同じように読めなくては内容の確認が取れず,証明することもできません。
この原本を画像補整して,可視化できるようにした状態が右下図です。ここでは縮小して掲載しているため,読みづらい箇所もありますが,筆跡鑑定にも十分に耐えうる,鮮明な状態で復元されています。

特殊鑑定における,筆跡部分を黒塗りされた書類のイメージ特殊鑑定における画像補整後の筆跡イメージ

語句分解による,執筆者の系統割り出し

ご相談いただく内容の中には,書字(人が書いた文字)ではなく,活字(印刷物)に関するお問合せもいただきます。
書字の場合には「筆跡鑑定」を行い,執筆者の特定をすることが可能ですが,活字の場合,筆跡鑑定は役に立ちません。それでも「作成者が誰なのかを調べたい」というお声から,田村鑑定調査では,それを探る方法として鑑定資料の語句を分解し,その出現頻度や言い回しなどを調べ,対照資料との突合を行い,作成者の系統割り出しを行っています。これは人が文章を作成する場合には,書字・活字の区別なく,作成者の固有パターンが存在すると考えられているからです。
下図は,語句分解を行った,一覧表のイメージです。これらの作業を通じて,作成者を特定する手掛かりとしています。

特殊鑑定における語句分解表のイメージ

問題解決のために特殊鑑定に取り組みます

筆跡鑑定から始まった田村鑑定調査ですが,長い月日の中でご相談いただいた「お悩み」の「問題解決」を第一に考え,真剣に取り組んできたものが,数々の検査を生み出しました。ご紹介したものは一部ですが,お客様が抱えているお悩みを解決する手段が,田村鑑定調査にあるかも知れません。問題解決の第一歩として,まずはそのお悩みを,田村鑑定調査にお話しください。