筆跡鑑定の研究内容

ボールペンインクの種類と筆跡の違いを研究

赤外線透過実験ボールペンは,広く一般社会に普及しており,日常的に使用されることが多い筆記具です。
最近では,消せるインクのボールペンなどもありますが,油性や水性及び,ゲルインクボールペンなどは,役所や銀行の書類や契約書など,主に保管を要する書類を作成することに適しており,便利であるとともに安価で,入手も容易に行えます。

弊所では,ボールペンに対し,メーカーの違い,油性・ゲルなどのインク特性の違い及び,色の違いなどにより,赤外線の透過状況に違いがあるかといった実験を行いました。
また,消えるボールペンの常温復元や,筆記した紙を水につけて溶け出す様子を観察したり,紙以外の媒体へ筆記して,どの程度で乾くかといった観察をしたり,研究が尽きることがありません。

 

筆記時における筆圧の研究

筆圧観察画像

上図は特殊素材のシートにボールペンを当て,筆圧のかかり方を観察しているところです。シートの裏側から撮影しました。筆圧の状態を,詳細に観察することにより,執筆者の特定や,真偽を見極める方法,また左右どちらの手で執筆されたかなどを見い出す研究を行っています。

左右の手により生じる筆跡の違いを研究

下図は,田村鑑定調査で制作した等圧筆記装置です。左右の手に見立て,角度をつけた筒の中に筆記具を入れ,分銅で同じ重さの圧をかけて筆記する装置です。
下の台がXYテーブルになっていて,これを動かすことにより,線や図形を筆記することができます。
筆記具を持つ左右の違いが,筆跡にどのような影響を及ぼすかを研究しています。

等圧筆記装置を使った実験画像

韜晦筆跡の研究

自身の通常の書き方とは異なる「韜晦筆跡(とうかいひっせき)」について,模書のレベルまで広げた研究を行っています。これは多くのサンプルを解析する必要があり,現在も進行中の研究です。2015年3月現在 100名程のサンプルを有しています。

韜晦筆跡研究資料画像

筆跡鑑定の精度を高めるための補助研究

斜めコピーの画像補整

斜めにコピーされた筆跡資料は,画像補整を行うことにより,原本と同じように再現できるかを検証しています。実は簡単な作業なのですが,筆跡の縦横比率に誤差が生じないかを検証した,重要な実験です。下図は,画像補整したコピー資料と原本を,重ね合わせている作業のイメージとして,テンプレート定規をモデルにした画像です。

斜めにコピーされた資料と原本の重ね合わせ検証

斜め撮影の写真画像補整

斜めに撮影された写真画像と原本の重ね合わせ検証

斜めに撮影された写真画像は,画像補整を行うことにより,原本と同じように再現できるかを検証しています。この作業には,原本の縦横の正確な長さか,縦横比率が必要になります。複雑な作業になりますが,筆跡の縦横比率に誤差が生じないかを検証するための重要な実験です。
上図は,画像補整した写真画像と原本を,重ね合わせている作業中の画像です。実際の鑑定作業では,お客様への確認を行い,ご了承を得た上で作業を行います。鑑定報告書には,画像補整前後の写真画像を掲載しています。

研究試料を作成しています

筆跡と印章の試料作成画像

現在進行中の研究として,筆跡と印影の試料作成を行っています。
これは,10日おきに筆記と押印を行うもので,数年から10年程度の試料が必要となる見込みです。そのときにはじめて,鑑定の役に立つか否かがわかるため,水泡に帰す可能性は50%といったリスキーな研究ではありますが,現在まで誰も着手していないため,2016年8月から開始しました。

筆跡鑑定研究所の使命として

田村鑑定調査では,研究と実験から得られたデータを検証して工夫を重ね,データベースを構築し,お客様のあらゆるご相談に対応すべく,日々新たな取り組みを行っています。このように記述することは易いことですが,行うは難しです。弊所では筆跡鑑定の研究をはじめ,印章鑑定や特殊鑑定に対応した様々な研究を使命感を持って取り組んでいます。

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Posted by 鑑定人 田村真樹