100%の鑑定結果にならない理由

筆跡試料作成2019,鑑定人ブログ

筆跡鑑定は1%の壁を越えられない

先日,ある方から「筆跡鑑定の結果は,どうして100%にならないんですか」というご質問をいただきました。その方は「99%」という鑑定結果にも関わらず,事態が進展しないことにもどかしさを感じていたようですが,「1%に逃げ道を用意してるんですか」とも仰っていました。

「人間は,一度書いた文字を,全く同じ筆跡で執筆することはできないのです。だから,100%という結果は有り得ないのです。」

私はこのように答えましたが,本意は少し違うところにありました。

鑑定結果の表現は鑑定人により異なりますが,「何%の確率で~」という表現には少々難があると考えています。それは「筆跡は0%の確率で異なります」と書いてみるとこの表現のおかしさに気づきますが,鑑定結果に確率を用いると,確率は数学ですからこのような表現も必要になるのですが,これでは意味が分かりません。
でも確率には「0%」ということがあり得るのでこれに基づいて考えてみると,日本語と日本語の同じ漢字どうしを鑑定する場合,必ず同じように書かれる部分が出てきます。そうでないと同じ文字として認識されませんから,似た部分がどこかに見られます。そうした部分は純粋に「類似」という見方がなされますので,「確率100%で同じ筆跡」は有り得ても「確率100%で異なる筆跡」は有り得ないことになります。しかし,「確率100%で同じ筆跡」という表現にも問題があります。 過去に書いた自身の筆跡を全く同じに再現できる人間はいませんから,本人が名前を書いてもどこか異なる部分が出てきます。その部分は「相違」という見方をするしかありませんから,「確率100%で同じ筆跡」も存在できないのです。
つまり,日本語とアラビア語など,全く異なる文字を鑑定でもしない限り 「確率100%で異なる筆跡」 は有り得ないのですが,そもそも鑑定自体が不可能ですから,そうした鑑定結果はこの世に存在しないことになりますし,過去に書いた筆跡と全く同じ筆跡が存在するということは,偽造された筆跡である可能性の方がはるかに高いので,「確率100%で同じ筆跡」という鑑定結果は,確率100%で偽造筆跡ということと同義になるのです。

越えられない1%は,越えてはいけない1%でもあるのです。

鑑定結果は言葉で表現する方が良い

私の鑑定結果は,筆跡鑑定の場合「同一人の筆跡」や「別人の筆跡」を主体としており,鑑定に使用した筆跡資料の状態などにより,確さの度合いである「確度」が変化して,「類似した筆跡」や「相違した筆跡」などの表現へ変わります。

「同一人の筆跡」等は「確率100%なのでは?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが,表現に数字を用いてしまうと上記のようになりますし,実際の筆跡鑑定では ,同一人が書いた筆跡でも少しづつ異なる「個人内変動」があり,また,別人が書いた筆跡にも,わずかには似ることがある「書字行動の蓋然的事象」があることを認めながら,筆跡の本質に迫り,詳細部分を比較観察し,計測や計算などに基づいた鑑定結果へつなげて行くことが重要であるからで,言葉として表現する方が筆跡鑑定には向いていると考えられるのです。

通算87回目の筆跡試料作成

2019.1.21筆跡試料作成

19日にフジテレビで放映している「ホンマでっか!?TV」の収録に行きました。明石家さんまさんや島崎和歌子さん,マツコ・デラックスさん,ブラックマヨネーズのお二人などに加え,ゲストの奥田瑛二さんまで間近に見ることができて大変貴重な体験をさせていただきました。

特に明石家さんまさんは,小学生のころからのファンでしたので,同じ空間にいられることや,見掛けできたことを,とてもうれしく思いました。

スタジオ内は写真撮影禁止でしたので画像は1枚もなく,サインをもらうこともはばかられる雰囲気でしたので,物としての記念品は何もありませんが,かつてテレビ画面で見ていた方々にお会いでき,オーラのようなものを感じることもできましたので,一生の思い出になりました。


最後までお読みいただき,ありがとうございました。