実印や銀行印の印章鑑定

当研究所の印章鑑定の特長

当研究所は,裁判所から印章鑑定の嘱託実績があります。
当研究所の印章鑑定は,スーパーインポーズ検査のみでは偽造を見抜くことができないとする考えのもと,十数種類を超える偽造印影等のサンプルデータを基に,印章の真贋鑑定を行います。

印章について

印章には,ハンコ,印鑑,印影など,呼び方は人それぞれですが,専門的な用語が存在します。

  • 印顆(いんか)・・・ハンコ本体のこと
  • 印面(いんめん)・・・名前が彫ってある面
  • 輪郭線(りんかくせん)・・・名前が彫ってある部分を囲む丸い線
  • 文字線画(もじせんかく)・・・名前が彫られている線の部分
  • 印肉(いんにく)・・・朱肉のこと
  • 着肉(ちゃくにく)・・・印面に印肉を付着させること
  • 押印(おういん)・・・自筆署名の後にハンコを押すこと。捺印とも
  • 印影(いんえい)・・・紙などに押印された印面の鏡面形状
  • 印鑑(いんかん)・・・実印や銀行印など,届出がされている印影
  • 印章(いんしょう)・・・印顆を作り,押印し,印影を残す行為全般を指す

印顆から押印を行い,紙などに印影を残すという全般を印章と呼びます。どの段階の印章を鑑定するかによって鑑定方法が異なりますが,印章鑑定や印鑑鑑定,印影鑑定などと呼び名を変えることなく,当研究所では「印章鑑定」という統一した記述をしています。

ちなみに「押印」と「捺印」はハンコを押捺する行為ですが,「捺」字は当用漢字ではないため「押」字を使った「押印」という熟語が広く浸透し,養子縁組届など行政手続きに用いられる様式では「署名押印」とされています。
ネット上では,住所や氏名などが印刷やゴム印で記されたもの(記名といいます)の書類にハンコを押捺することを「記名押印」とし,自筆署名に押捺することを「署名捺印」として,分類するという記述も見られますが,当研究所では行政様式の「署名押印」に準じるとともに,鑑定書をお読みになる方の煩雑な思いを軽減させる目的から,ハンコの押捺を「押印」に統一しています。

印章鑑定の現状

印影は,筆跡と異なり,いつでも同じ形状になることを目的として作られ,それを持つ者を,本人であると証することができ,日本では重要書類に押印が求められます。
かつて,印影の偽造を行う場合,印章から偽造する必要があり,印章を作成することは,素人にはほぼ不可能な技能であり,また印章の彫刻師でも,印影から印章を作成することは容易ではないため,これまでは,スーパーインポーズによる画像の重ね合わせを基本とした鑑定方法で,真贋の見極めが有効でした。
しかし,現代においては,パソコンやプリンター機器の発展と普及により,安直に偽造が行える環境が,各家庭レベルに存在し,若干の知識と環境があれば,誰でも簡単に偽造印影を作り出せるようになりました。
当研究所でも主に,印章鑑定の場合には,スーパーインポーズを使用した鑑定方法を採用していますが,それだけで真贋の判断を行うのは不十分であり,印影がどのような状態であるのかを,詳しく観察する必要があると考えます。

スーパーインポーズの解説画像

これからの印章鑑定

印影を,原本とコピーに分類し,細かく観察します。

印影の原本印影のレーザーコピー印影のインクジェットコピー

上図は左から,原本印影,原本印影のレーザーカラー複合機によるコピー印影と,インクジェットプリンターによるカラーコピー印影です。元は一つの印影ですが,原本印影と比較して,コピー印影は,文字線画の色合いやざらつき感が異なることがお分かりいただけるかと思います。
印影のある書類については,手に取り観察すれば,印影が原本かコピーかの判断ができるものもありますが,弊所では目視のみに頼らず,必ずマイクロスコープによる観察を行います。それは,原本かコピーかの判断のほか,鑑定を行う上で重要なポイントを観察する目的があるからです。
日本では現在,レーザープリンターとインクジェットプリンターが主流のプリンターであるため,弊所ではこの2機種において考察を深めていますが,その理由は,印章鑑定を依頼される方のほとんどが,書類のコピーしか持たず,原本を使った鑑定がかなわないためです。

拡大観察が重要。

印影のレーザーコピー拡大図レーザーコピー偽造印影の拡大図
※左図:レーザーコピーの拡大画像,右図:レーザーコピーを使用した偽造印影の拡大画像

インクジェット印影の拡大図インクジェットコピー偽造印影の拡大図
※左図:インクジェットコピーの拡大画像,右図:インクジェットコピーを使用した偽造印影の拡大画像

印影を拡大観察することにより得られる情報は,鑑定結果に重大な影響を及ぼすことがあります。
上図は,印影をコピーした画像と,偽造印影を拡大した画像です。その違いは,様々なところに現れるのですが,肉眼はもとより,拡大鏡を覗いた程度では決して観察することができません。

 


 

2017-09-22