領収証の偽装を筆跡鑑定で見破る

領収証偽装は,発覚するまでに時間がかかる傾向にあります。

加筆の可能性や,なりすましによる領収証偽装の解明を行います。

金銭の授受は,個人・法人を問わず,日常行われ,領収証が発行されています。この領収証を偽装し,実際に支払われた金額より多くの金銭を請求するケースがあり,それらを「領収証偽装」と呼んでいます。領収証の偽装は,大きく分けて2つに分類されます。
ひとつは,金額欄に加筆を行い,数字を変えてしまう方法です。「1」を「7」や「9」に変えたり,「3」を「8」に変造するものや,記入されていない桁に,数字を書き足すものなど,方法は様々です。
二つ目は,領収証全体を偽造してしまうものです。近年では通信販売で,安価に社判(店判)が制作でき,実態調査などは行われないため,誰でも簡単に,無関係の店舗などのはんこを手に入れることができてしまいます。また,領収証の大半は,大手メーカーの普及品が使用され,簡単に入手できる背景もあり,「偽造してみよう」という安易な発想を,具現化することが容易に行えてしまう環境があります。
領収証偽装に対する筆跡鑑定のご相談は,年間に数件と,決して多くはありませんが,1案件ごとに枚数が多く,100枚に届く枚数の鑑定も珍しくありません。
ただし,これまで鑑定依頼があった例は,経理部門の方の眼力によるものがほとんどであり,現在の領収証偽装が安易に行えてしまう環境を思料すると,領収証偽装は潜在的に横行していることが予想されます。
鑑定を行う場合「疑わしい人物」は,領収証を経理部などに提出した人物が最初に浮かび,濃厚でもありますが,経理部に届くまでに数人を経由している場合もあり,対象者の選抜を的確に行い,適切な対照資料をそろえないと,冤罪を生む危険もありますので,細心の注意が必要です。

調査方法は二通りあります

加筆の有無を調べる

領収証偽装のうち,加筆を行った偽装の場合には,領収証の原本が必要です。赤外線調査を通して,同じタイプのボールペンが使用されているかなどを主に検査します。
領収証が複写式(カーボンコピー)の場合でも,鑑定は可能です。こちらは赤外線調査を行えませんが,マイクロスコープ検査が行えますので,原本を御用意ください。

完全偽造を調べる

領収証全体を偽造した場合には,疑わしい人物との筆跡鑑定を行います。こちらは通常の鑑定作業となりますので,疑義のある領収証と,疑わしい人物が書いた算用数字などのサンプルを御用意ください。
対照資料を選ぶ際の注意点は,このほかにもございますが,案件ごとに異なりますので,鑑定をお考えの方は事前にお問い合わせください。

領収証偽装の鑑定は,対照する人物が,社員などの関係者が大半であるため,比較的容易に筆跡資料を収集できるかと思います。しかし,誤った鑑定により,疑われた方や,ご家族などに影響を及ぼすこともあります。また,対象者が多数の場合,鑑定が徒労に終わることも少なくありません。
「白黒をつける」ことも重要ですが,「冤罪を作らない」ことも視野に入れて,的確な資料で,精度の高い,確かな鑑定結果をお求めください。

 

2017-05-10